損害賠償請求の期限は契約によって変わるので注意
住宅を新築したりリフォームしたりして引き渡しを受けてから、何らかの瑕疵、つまり施工ミスなどがあったことに気づいた場合には、工事業者に損害賠償を請求することができます。
しかし、これはいつまで経っても有効なものではなく、請求できる期間が決まっていますので、その中で行う必要があります。
法律で原則的に決められているのは、引き渡しから5年間、瑕疵があったことによって生じた損害が見られてから1年以内となっています。
つまり、そこに住み始めてから5年が経過してしまうと権利を失ってしまいますし、何かしらのトラブルがあったことに気づいてから1年以内に請求しないと、やはり権利がなくなってしまうということになります。
ただし、この期間は本人同士の合意によって変えられることになっていて、契約書の記載が優先されます。
たとえば、よくある事例で民間連合協定工事請負契約約款による、という記載があり、これは引き渡しから1年で損害賠償の請求権が消滅してしまうことを示しています。
工事業者に有利な仕方で変更されていることも多いので、しっかりと契約書で確認するようにしましょう。
特定の部分の瑕疵については期間の短縮ができないことになっている
このように、法律で原則となる期間が定められているとはいえ、工事業者が作成する契約書の内容によっては、損害賠償の請求可能期間が短くなってしまうことがあります。
しかし、これはすべての瑕疵に当てはまるわけではなく、一定の部分については契約書で定めたとしても、期間を短くできないことになっています。
その一つ事例が住居の構造的に大事な部分です。
基礎や軸がずれてしまっている、曲がっているために家全体にゆがみが生じているなどのケースでは、構造上主要な部分に瑕疵が生じていると言えます。
もう一つの事例は雨水が入らないようにするという部分となります。
そのため、屋根瓦などに問題があったり、雨水排水の工事が悪かったりする場合は、いくら契約書で請求権の期間が短縮されていても関係ありません。
これらの部分における損害の請求権は、引き渡しから10年間有効であると一律定められています。
そのため、工事事業者が契約書の期間短縮というところを盾に拒否しても、拒否できない部分であり工事業者が責任を負って改修をしなければならないのです。
できるだけ早めに動く
このように、明確に法律で損害賠償請求について定められていますので、憶することなく行動することができます。
何らかのトラブルに気づいたら、躊躇せずに専門家に相談してすぐに行動することが重要です。
特に契約書で期間短縮がなされている場合は、すぐにしないと権利を失ってしまうことがあるからです。